個人事業主として事業を成長させ、いよいよ「人を雇う」という段階に入ったとき、期待と同時に「何から手を付ければいいのか?」という不安を感じる方も多いのではないでしょうか。しかし、何の手続きもしないまま雇用を始めてしまうと、知らず知らずのうちに法令違反となるリスクもあります。
今回は、初めての雇用で最低限押さえておきたい3つのポイントを、社労士の視点から解説します。トラブルを未然に防ぎ、安心して雇用をスタートするための基礎知識として、ぜひご活用ください。
1.労働保険の加入は「義務」です
「うちは小さな事業所だから、保険は任意でいいのでは?」――そう思われがちですが、実は原則として加入は“義務”です。
労働保険(労災保険・雇用保険)
雇用保険と労災保険をあわせて「労働保険」と呼びます。
従業員を1人でも雇えば、労災保険への加入は必須です。さらに、週20時間以上かつ31日以上の雇用見込みがある場合には、雇用保険にも加入が必要となります。
社会保険(健康保険・厚生年金)
健康保険と厚生年金保険をあわせて「社会保険」と呼びます。
個人事業主であっても、常時5人以上の従業員を雇っている場合には、一部業種を除いて社会保険の強制適用事業所となります。
また、従業員が常時5人未満でも、厚生労働大臣の認可を受けることで任意適用として加入が可能です。ただし、任意適用をしても、個人事業主本人は社会保険に加入することはできないため注意が必要です。
💡 【社労士からのポイント】
ご自身が加入の対象となるか不明な場合は、社労士にご相談いただくのが最もスムーズです。
2.労働条件通知書と雇用契約書は別物。必ず書面で交付を
従業員を雇う際には、労働条件を書面で通知する義務があります。
これは、口頭やLINEなどのメッセージだけでは法律違反になるおそれがあるため、注意が必要です。
必ず明示すべき「労働条件」とは?
- 労働契約の期間(有期か無期か) ※有期契約の場合は「更新の基準」も記載
- 就業場所・業務内容
- 勤務時間・休憩・休日
- 賃金(時給・月給、支払日など)
- 解雇・退職に関する事項
これらは「労働条件通知書」または「雇用契約書」として、紙で交付する必要があります。なお、労働者の希望があれば電子交付も可能です。
通知書と契約書の違いとは?
- 労働条件通知書は、「雇い主からの一方的な通知」
- 雇用契約書は、「雇い主と労働者が合意した証拠」
そのため、トラブル防止の観点からも、労働条件通知書に確認欄を設け、署名・押印をもらっておくのが理想的です。
💡 【社労士からのポイント】
ひな形をそのまま使うと、実態と合わないケースがあります。実際の働き方に即した書式にカスタマイズすることが大切です。
3.勤怠管理は“感覚”ではなく“記録”が命
「うちは小規模だから、勤怠はざっくりでいいよ」――
このような対応は、未払い残業代の請求や労働基準監督署からの是正指導を招く可能性があります。
例えば、カレンダーに〇をつけるだけでは不十分で、出勤時間・退勤時間・休憩時間をきちんと記録しておく必要があります。
勤怠管理を怠るとどうなる?
- 残業代請求時に反証ができない
- 労働基準監督署の調査で是正勧告を受けるリスク
- 助成金・補助金の申請時に不利になる可能性
たとえ従業員が1人でも、タイムカード、打刻アプリ、Excelの勤怠表などで「出退勤の記録」を残すことが非常に重要です。
💡 【社労士からのポイント】
最初はExcel等での管理が多いですが、今後の採用拡大を見据えて、クラウド勤怠システムの導入を検討するのもおすすめです。
4.まとめ
雇用のスタートでつまずかないためには、「保険手続き」「契約書の整備」「勤怠管理」の3点が土台となります。後回しにしてしまうと、思わぬトラブルや行政指導につながることもあるため、最初の一歩こそ丁寧に進めることが大切です。
私たち社労士法人合同経営では、初めての雇用を安心して迎えられるよう、制度設計から手続き、運用支援までトータルでサポートしています。
ぜひ、お気軽にご相談ください。
料金シュミレーター
就業規則の作成
36協定届
1年単位の変形労働時間制に関する協定届
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