東京商工リサーチによると、急激な物価高を理由に2022年7月から2023年2月の間に賃金のベースアップ(給与水準の引き上げ)、一時金の支給を公表した上場企業は68社あることがわかりました。
総務省の発表では、2022年12月の消費者物価指数(CPI)の上昇率は前年同月比4.0%で、41年ぶりの水準となり、今後も値上げが見込まれるなか、大企業を中心に賃上げの機運が高まっています。
物価上昇の対応としての賃上げは、主に以下2つの方法があります。
①恒久的なベースアップを行う
②生活支援を目的に、期間を定めて手当(一時金を含む)を支給する
今回の調査では、①を行った企業が4割、②を行った企業が6割であったとの結果が出ています。
それでは、それぞれについて特徴を確認してみましょう。
1. ベースアップ
ベースアップとは、基本給を昇給させることを指し、基本的には社員個人の勤務年数や成績は関係なく全社員一律で昇給します。
つまり、5%のベースアップは、全社員の基本給を5%ずつ上げることを意味します。
ベースアップを行うことで、すべての社員に対して平等に物価上昇に対するサポートをすることは可能ですが、一方で注意しておかなくてはならないこともあります。
そのひとつが、基本給を上げることで残業単価も連動して上昇することです。ベースアップ前と同じ時間残業をしたとしても、残業代はベースアップ後の方が多くなります。
また、基本給をベースに賞与を支給したり、退職金を支給したりしている場合も、ベースアップによりそれぞれの支給水準が上がります。
ベースアップを実施する場合は、以上のことを視野に入れながら昇給額を決定しましょう。
2. 期間を定めて支給する手当
恒久的な昇給であるベースアップとは逆に、あらかじめ期間を定めて手当を支給する方法もあります。
物価上昇が収まった時点で支給をやめることができますが、注意も必要です。
ひとつ目の注意点として、支給要件を決定しづらいことがあげられます。
賃金規程等に支給対象や支給要件などを詳細に定める必要がありますが、この支給要件については「消費者物価指数を根拠として決定する」、「地域の状況を考慮して決定する」などが考えられますが、いずれも明確な基準はないため決定が難しくなるでしょう。
ふたつ目は、ベースアップと同様にこの手当も残業単価の計算に入ることです。
残業単価の上昇のみを考えると基本給の昇給も手当の支給も残業単価の上昇は全く一緒です。
3. 一時金として支払う
物価上昇を理由とした臨時賞与を支払うという方法もあります。
臨時賞与なので毎年決まって支給している賞与とは別に考えます。
ただし、一時金はどんなに少額でも賞与として計上する必要があるため、社会保険料や源泉所得税を控除し、賞与支払届を提出しなければならないことに注意しましょう。
上記では、会社が行う物価上昇への対応策を3つに分けて見てきました。
東京商工リサーチのデータは、資金力のある上場企業を対象とした調査をもとに発表されています。
一方、長く続くコロナ禍と物価上昇による打撃が大きい中小企業にとってはなかなか対応が難しいでしょう。賃上げを検討する際には、自社の状況を冷静に分析しながら決定しましょう。
