株式会社パーソル総合研究所から「つながっている時間」(業務時間外においても業務連絡に応答している時間)の実態を明らかにする目的の調査の結果が公開されました。その結果をもとに「つながっている時間」について考えていきましょう。
※労働時間に関する基本的な考え方、曖昧になりやすい労働時間についてはこちらのコラムをご参照ください。
調査名称:パーソル総合研究所 「第八回・テレワークに関する調査/就業時マスク調査」
https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/data/telework-survey8.html
調査目的:テレワークの実態や意識、就業時のマスク着用状況を定量的に把握する。
つながっている時間(業務時間外においても業務連絡に応答している時間)の
実態を明らかにする。
調査手段:調査会社モニターを用いたインターネット定量調査
調査対象者:テレワーク実施者(正社員)=3,000人
実施主体:株式会社パーソル総合研究所
ここでの「つながっている時間」は、仕事の連絡に応答した「最も早い」時間から「最も遅い」時間までと定義されています。
パーソル総合研究所によると「つながっている時間」のうち、労働時間に該当する時間は月平均で232.3時間になるとのことです。その内訳は、所定労働時間176時間、残業時間15.7時間、業務時間外応答時間が40.6時間となっております。つまり、実際に時間外に勤務しているが、残業手当が支払われていない時間が40時間以上あることになります。時給1,200円の労働者が40時間分の時間外労働をした場合、割増賃金は60,000円となり、年間にして720,000円の未払い残業が発生していることになります。
また、残業時間と業務時間外応答時間の合計は、56.3時間となり、これは「月45時間」の時間外労働の上限を超える時間です。
上記のように、社員が勤務時間外に業務に関する連絡に対応することは大きな労務問題につながる可能性があります。「つながっている時間」対策として、顧客に対応可能な時間を明示する、勤務時間外のデバイスへのアクセスを制限する、勤務時間外の連絡を禁止する等の取り組みが考えられます。
「つながっている時間」と同じく、休憩時間中の対応も問題となり得ます。休憩時間中に顧客対応を行っていた、電話を受けていたなどの場合には、労働時間に該当するため賃金の支払いが必要になります。休憩時間中は留守番電話を活用する、輪番で電話当番を決定し、当番となった社員は休憩時間をずらす等の対策が必要になります。
しかし、医療や介護のように患者や利用者の命がかかっている業界や、インフラやITの保守を担当する業界では、休憩時間や時間外の対応が避けられないことケースがあることも事実です。待機が必要な場合のオンコール手当の支給や、実際の対応時間に対する時間外手当の支払いなど、会社のルールを明確にしておくことが重要です。