【お役立ち情報】曖昧になりやすい労働時間についてのケーススタディ

労働時間については、労働基準法第32条に次のように規定されています。
「使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。」
それでは、この労働時間についてどのように考えればよいのでしょうか。今回は具体的な事例を紹介しながら労働時間について考えていきます。

始業前の機械の点検や用具の装備

工場や工事現場などでの機械の点検、用具の整備は労働時間に該当します。

手待ち時間

タクシーの運転手が乗客を待っている場合やお店の店員がお客さんを待っている場合などは、直接的に労働しているわけではありませんが、労働から離れることが出来ないためは手待ち時間として労働時間として取り扱う必要があります。

作業服等への更衣

清潔な服装が求められる環境において職場でしか更衣が出来ない場合や、制服での外出を禁止し職場での着替えを指示されている場合など、会社によって特定の時間や場所での更衣を指示されているケースは、労働時間に該当します。
一方、作業服や制服での出勤が認められているケースは労働時間に該当しません。

法令で義務付けられている保護具や保護衣等の装着

ヘルメットや安全靴、防塵マスクなど法令により装着が義務付けられている保護具や保護衣の装着にかかる時間も原則としては労働時間に該当します。
ただし、作業服と同様に自宅での装着を認めている場合は、労働時間に該当しない場合もあります。

職場の清掃/朝礼や終礼/研修

会社からの指示や業務命令で行われている場合は、労働時間に該当します。
会社からの指示がなく自主的に行われている場合は、労働時間に該当しません。ただし、会社から指示をしていない場合でも、参加しなければ評価が下がる、暗黙の了解で決まっている、参加しなければ業務についていけないなど、実質的に参加が義務付けられている場合は、労働時間として取り扱う必要があるので注意が必要です。

出張の移動時間

出張先への移動時間のうち、完全に業務から離れ、自由に過ごすことが出来る場合は、労働時間になりません。
一方、移動中に資料を作成するよう指示があった場合や、移動中に物品の監視や管理を命じられている場合は、労働時間に該当します。

まとめ

今回は、よくある事例を紹介しながら労働時間について考えてきました。労働時間に該当するかどうかは、原則として会社からの指示命令があるかどうか、労働から完全に離れることが出来ているかどうかにより総合的に判断する必要があることに注意しましょう。

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