
従業員を採用した際に提出が必要な社会保険の資格取得届について、「書き方や期限を正確に知りたい」「手続きを誤って従業員に迷惑をかけたくない」というお悩みをお持ちではないでしょうか。
- 資格取得届に何をどう記入すればよいかわからない
- 提出期限や提出先を正確に把握したい
- よくあるミスや注意点を事前に知っておきたい
この記事では、社会保険の資格取得届の概要から、提出が必要なケース・書き方・提出期限・必要書類・よくあるミスまで、実務担当者の目線でわかりやすく解説します。
社会保険手続きをはじめとする社労士への依頼範囲を知りたい方は、こちらもあわせてご覧ください。

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社会保険の資格取得届とは

「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届」とは、社会保険(健康保険・厚生年金保険)の適用事業所が、新たに被保険者となる従業員を採用した場合などに提出する届出書類です。
この届出を提出することで、従業員の健康保険・厚生年金保険の加入手続きが進みます。届出が遅れると、資格確認や保険給付、保険料の確認に影響することがあるため、入社時の重要な手続きとして管理する必要があります。
なお、「社会保険」という言葉は広義では健康保険・厚生年金保険・雇用保険・労災保険などを含めて使われることがありますが、この記事で扱う「資格取得届」は、主に健康保険・厚生年金保険に関するものを指します。
雇用保険については、別途「雇用保険被保険者資格取得届」の提出が必要です。
資格取得届の提出が必要になるケース
以下のような場合、資格取得届の提出が必要になります。
正社員・フルタイム勤務者を新規採用したとき
常時使用される従業員を採用した場合、原則として健康保険・厚生年金保険の被保険者となります。
雇用契約の名称が「正社員」であるかどうかだけでなく、実際の勤務実態や加入要件を踏まえて判断することが大切です。
パート・アルバイトが加入条件を満たしたとき
パート・アルバイトであっても、勤務時間や勤務日数が一定の基準を満たす場合は、社会保険の加入対象になります。
たとえば、1週間の所定労働時間および1か月の所定労働日数が、同じ事業所で同様の業務に従事する通常の労働者の4分の3以上である場合は、被保険者となることがあります。
また、特定適用事業所などでは、次のような要件をすべて満たす短時間労働者も対象となります。
- 週の所定労働時間が20時間以上であること
- 所定内賃金が月額88,000円以上であること
- 雇用期間が継続して2か月を超えて見込まれること
- 学生でないこと
特定適用事業所の企業規模要件は段階的に見直しが進んでいるため、従業員数や雇用形態に変更があった場合は、最新の要件を確認することが大切です。
雇用形態が変わり加入条件を満たすことになったとき
アルバイトや契約社員から正社員に転換した場合など、雇用形態の変更により社会保険の加入条件を満たすことがあります。
この場合も、加入対象となった日を基準に資格取得届の提出が必要です。入社時だけでなく、契約変更・勤務時間変更・雇用形態変更のタイミングでも確認しておきましょう。
定年退職後に再雇用したとき(同日得喪)
60歳以上の従業員が退職後、1日の間もなく再雇用された場合は、資格喪失届と資格取得届を同時に提出する「同日得喪」の手続きが必要になることがあります。
この場合は、就業規則や退職辞令の写し、雇用契約書の写しなど、退職と再雇用の事実を確認できる書類が必要になる場合があります。
提出不要となる適用除外
一定の短期雇用や臨時的な雇用など、被保険者とならないケースでは資格取得届の提出は不要です。
ただし、当初は短期雇用の予定であっても、所定期間を超えて雇用されることになった場合などは、その時点から加入対象となることがあります。
資格取得届の書き方
届出書は、日本年金機構のホームページからPDF版・Excel版をダウンロードできます。以下では、主な記入項目と注意点を整理します。
事業所に関する記入項目
| 記入項目 | 内容・注意点 |
|---|---|
| 事業所整理記号 | 管轄年金事務所の番号と事業所ごとの記号。適用通知書や保険料納入告知額通知書などで確認します |
| 事業所番号 | 事業所ごとに付与される番号。通知書類で確認します |
| 事業所所在地・名称・事業主氏名 | 登録内容と一致するよう正確に記入します |
事業所情報の記入ミスがあると、受付後に確認や再提出が必要になることがあります。手元の通知書類と照合しながら記入しましょう。
被保険者に関する記入項目
| 記入項目 | 内容・注意点 |
|---|---|
| 氏名・生年月日 | 本人確認書類や住民票などと一致する内容で記入します |
| 個人番号(マイナンバー)または基礎年金番号 | 原則として個人番号を記入します。個人番号を記入できない場合は基礎年金番号を記入し、住所欄も記入します |
| 資格取得年月日 | 適用事業所に使用されるに至った日などを記入します。一般的には入社日と一致することが多いです |
| 報酬月額 | 基本給・各種手当・通勤手当などを含めた報酬月額を記入します |
| 扶養家族の有無 | 扶養家族がいる場合は、健康保険被扶養者異動届など別途必要な手続きを確認します |
| 取得の区分・備考欄 | 短時間労働者など、該当する区分がある場合は漏れなく記入します |
報酬月額の記入では、通勤手当を含めた固定的な報酬を確認することが重要です。税務上の非課税扱いと社会保険上の報酬の考え方が異なるため、通勤手当を除いて記入しないよう注意しましょう。
提出期限と提出先・提出方法
提出期限
資格取得届は、事実発生から5日以内に事業主が提出します。従業員を採用した場合は、入社日を基準に準備を進めることが一般的です。
採用が決まった段階で、氏名・生年月日・個人番号・扶養家族の有無・報酬月額などを確認できる体制を整えておくと、提出期限に余裕を持って対応しやすくなります。
提出先
資格取得届の提出先は、事務センターまたは管轄の年金事務所です。
| 提出方法 | 提出先・方法 |
|---|---|
| 電子申請 | e-Govなどを利用して申請 |
| 郵送 | 事務センターなどへ送付 |
| 窓口持参 | 管轄の年金事務所などへ持参 |
近年は電子申請を利用する企業も増えています。電子申請は、紙の書類に比べて移動や郵送の手間を減らしやすい一方、事前準備やシステム操作に慣れる必要があります。
自社の体制に合った提出方法を選び、期限内に提出できる運用を整えておきましょう。
提出後の流れ
提出後は、年金事務所等で内容確認が行われます。不備や記入誤りがある場合は、届出が返戻され、再提出が必要になることがあります。
健康保険証の新規発行は終了しているため、現在はマイナ保険証の利用状況や資格確認書の発行対象などに応じて、資格確認に関する手続きが進みます。
入社直後に医療機関を受診する可能性がある場合は、資格確認の方法について事前に確認しておくと安心です。
ケース別の必要な追加書類
資格取得届の添付書類は、原則として必要ありません。ただし、以下のようなケースでは追加書類が必要になる場合があります。
| ケース | 必要な追加書類の例 |
|---|---|
| 60歳以上の方を退職後1日の間もなく再雇用した場合 | 就業規則・退職辞令の写し、雇用契約書の写し、退職日・再雇用日に関する事業主の証明書など |
| 国民健康保険組合に引き続き加入し、一定の要件に該当する場合 | 健康保険被保険者適用除外承認申請書など |
| 個人番号を記入できない場合 | 基礎年金番号を記入し、住所欄も記入。必要に応じて確認書類を準備 |
| 扶養家族がいる場合 | 健康保険被扶養者異動届など |
| 20歳以上60歳未満の配偶者を扶養にする場合 | 国民年金第3号被保険者関係届など |
追加書類の要否は、従業員の状況や手続き内容によって異なります。判断に迷う場合は、年金事務所や社労士に確認しましょう。
社会保険の資格取得届に関するよくあるミスと注意点
報酬月額に通勤手当を含め忘れる
社会保険上の報酬には、基本給だけでなく、各種手当や通勤手当なども含めて確認します。
所得税では非課税となる通勤手当であっても、社会保険の報酬月額では取り扱いが異なります。通勤手当を除いてしまうと、標準報酬月額の確認に影響することがあるため注意が必要です。
提出期限を過ぎてしまう
資格取得届は、事実発生から5日以内に提出する必要があります。
採用決定から入社日までの期間が短い場合や、扶養家族の情報確認に時間がかかる場合は、書類準備が遅れやすくなります。提出期限を過ぎた場合も、気づいた時点で速やかに対応しましょう。
届出が提出されていないことが後でわかった場合、事実が発生した時点に遡って保険料を支払う必要が生じることがあります。
資格取得年月日を誤って記入する
資格取得年月日は、適用事業所に使用されるに至った日などを記入します。一般的には入社日と一致することが多いため、雇用契約書の開始日や実際の勤務開始日とずれていないかを確認しましょう。
試用期間中であっても、加入要件を満たす場合は社会保険の対象となります。「本採用後でよい」と誤って判断しないよう注意が必要です。
パート・アルバイトの加入判定を誤る
パート・アルバイトが加入要件を満たすかどうかの判定を誤り、必要な届出が遅れてしまうケースがあります。
特に、特定適用事業所などに勤務する短時間労働者については、週の所定労働時間・月額賃金・雇用見込み・学生でないことなど、複数の要件を確認する必要があります。
また、企業規模要件は段階的に見直しが進んでいるため、従業員数が増えてきた会社では、自社が対象になるかを定期的に確認しておきましょう。
個人番号または基礎年金番号の確認が不十分
資格取得届では、原則として個人番号(マイナンバー)を記入します。個人番号を記入できない場合は基礎年金番号を記入し、住所欄の記入も必要です。
入社時に必要情報を確認できるよう、採用時の提出書類や確認フローを整えておくと、届出をスムーズに進めやすくなります。
扶養家族の届出を忘れる
従業員に扶養家族がいる場合は、資格取得届だけでなく、健康保険被扶養者異動届などの手続きが必要になることがあります。
配偶者や子どもを扶養に入れる場合は、収入要件や続柄、同居・別居の状況などを確認する必要があります。入社時に扶養家族の有無を確認する流れをつくっておくと、手続き漏れを減らしやすくなります。
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まとめ
社会保険の資格取得届は、従業員が健康保険・厚生年金保険の被保険者となる際に提出する重要な書類です。
この記事のポイント
- 資格取得届は、健康保険・厚生年金保険の被保険者となる従業員を採用した場合などに提出が必要
- 提出期限は事実発生から5日以内。提出先は事務センターまたは管轄の年金事務所
- 記入項目は、事業所整理記号・被保険者の氏名・生年月日・個人番号または基礎年金番号・報酬月額など
- 報酬月額は、基本給だけでなく通勤手当なども含めて確認する必要がある
- 添付書類は原則不要だが、60歳以上の再雇用や国民健康保険組合の適用除外など、ケースによって追加書類が必要になる
- よくあるミスは、報酬月額への通勤手当の含め忘れ・提出期限の超過・資格取得年月日の誤り・短時間労働者の判定ミス・扶養届出の漏れ
- 資格取得届をはじめとする社会保険手続きと給与計算をまとめて任せられる顧問契約は、社内担当者の負担軽減につながる
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※本記事の内容は執筆時点の情報に基づいています。制度・書式・提出先の最新情報は日本年金機構のホームページおよび各公的機関にてご確認ください。

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