2025年4月1日より、共働き・共育てを推進するための新たな制度として、「出生後休業支援給付金」が創設されます。本給付金は、出生時育児休業給付金または育児休業給付金に上乗せされる形で支給され、両親がともに育児休業を取得することを促進する制度です。
今回は、対象者、支給要件、企業としての対応ポイントについて解説します。
1.出生後休業支援給付金の対象者
以下のすべての要件を満たす雇用保険の被保険者が対象です。
①育児休業を通算14日以上取得すること
→出生時育児休業給付金(産後パパ育休)または育児休業給付金が支給される育児休業を通算14日以上取得すること
②以下のいずれかの条件を満たしていること
a. 配偶者が、子の出生日または出産予定日から8週間以内に通算14日以上の育児休業を取得すること
b. 子の出生翌日に「配偶者の育児休業を要件としない場合」(詳細は後述)に該当すること
2.支給額
出生後休業支援給付金の支給額は、休業開始時賃金日額の13%です。
これは、既存の育児休業給付金(67%)に上乗せされ、合計80%の支給となります。
📌 支給額の計算式
休業開始時賃金日額 × 休業日数 × 13%
📌 給付金と社会保険料の関係
育児休業中は、健康保険料・厚生年金保険料が免除されるため、手取り100%相当の支援となります。
3.配偶者の育児休業を要件としない場合
子の出生翌日時点で、以下のいずれかに該当する場合は、配偶者の育児休業取得を要件としません。
- 配偶者がいない
- 配偶者が被保険者の子と法律上の親子関係がない
- 配偶者から暴力を受け別居中
- 配偶者が無業者
- 配偶者が自営業者やフリーランスなど雇用される労働者でない
- 配偶者が産後休業中
- 上記以外の理由で配偶者が育児休業をすることができない
4.申請手続きについて
出生時育児休業給付金または育児休業給付金の申請と併せて、同一の支給申請書を用いて申請します。
📌 申請時の記入事項(以下のいずれか1つを記入) | |
①「配偶者の被保険者番号」欄 | 配偶者が雇用保険の被保険者であり、14日以上の育児休業を取得する場合 |
②「配偶者の育児休業開始年月日」欄 | 配偶者が公務員であり、14日以上の育児休業を取得する場合(育児休業を証明する書類が必要) |
③「配偶者の状態」欄 | ・配偶者の育児休業を要件としない場合 ・被保険者(男性)が申請する場合 (「配偶者が給付金の対象となる育児休業をすることができないことの申告書(様式あり)」が必要) |
📌 提出期限
休業終了日の翌日から2か月以内に申請。
5.会社の対応ポイント
企業として、制度の周知・申請サポート・職場環境整備が求められます。
①制度の周知
・育児休業制度と併せて従業員に説明し、特に男性従業員の取得を推奨する
・就業規則の見直しと、社内マニュアルの更新を行う
②職場の環境整備
・短期間の育児休業を取得しやすい風土づくりを進める
・業務の引き継ぎ体制を整え、休業取得をサポートする
6.まとめ
2025年4月から新たに導入される「出生後休業支援給付金」は、両親が育児休業を取得しやすくすることを目的とした支援制度です。
育児休業給付金(67%)に加えて、13%の給付が上乗せされることで、合計80%の賃金補償が行われます。さらに、健康保険料・厚生年金保険料が免除されるため、実質的な手取りは100%相当となります。
新制度の活用を進めることで、従業員が安心して育児と仕事を両立できる職場環境を整えましょう。
出生後休業支援給付金の申請も含めて手続きをアウトソーシングすることが可能です。ぜひ合同経営にご相談ください。