【お役立ち情報】春はもうすぐそこ!退職者の多い3月目前!引き継ぎはきちんと行えていますか?

大手メディアでも取り上げられるなど話題を呼んだパーソル総合研究所の「オフボーディング(欠員発生時の組織的取組)に関する定量調査」(2024/11/27)。
今後人材流動性がますます高まることが予想される中、オフボーディングに注目し、欠員発生時の組織への負の影響とそれを和らげる要因等が明らかになった結果となりました。

※オフボーディングとは…退職や産休育休等による欠員発生の際、業務を引き継ぎ後の成果に繋げるための一連の取り組みのこと


調査名称:パーソル総合研究所 「オフボーディングに関する定量調査」
調査目的:・欠員発生時に組織内で何が起こっているかを明らかにする。
     ・欠員発生後の対応方法を探る。
調査手段:調査会社モニターを用いたインターネット定量調査
調査時期:2024年 2月16日~2月20日
調査対象者:スクリーニング調査(n=37244)全国の正社員 20~59歳男女

      本調査(n=各1350s)
実施主体:株式会社パーソル総合研究所

https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/data/offboarding.html

1.欠員発生で何が起きているのか。

〇欠員発生後、人員の補充の有無の問いに関して、77%の組織で補充がされていないことがわかりました。

〇欠員発生後、後任者や上司の残業時間が伸びバーンアウト(燃え尽き)リスクが高まります
⇒補充がされないということは、すでに仕事を抱えている社員が後任となり仕事を抱えることとなり、後任者の退任意向が高まることにより退職者が続くことが考えられ、会社にとっては負の連鎖となる可能性があります。

2. 引継ぎはきちんと行えているのか?

〇前任者で引継ぎ時間に不足感を感じる人は、29.3%。一方後任者はおよそ半数にあたる47.1%不足感を感じていることが分かりました

〇引継ぎの方法は業務の説明(75.2%)や不明点を聞き解説を行う(66.4%)という説明の実施が高く、実際に後任者に業務を行いフィードバックの実施は半数に届かない実情があります。

〇引継ぎ時間の不足感と引継ぎ業務の理解度の関係性は連鎖しており、引継ぎ時間に不足を感じると理解が進まない傾向があります。

〇後任者の業務理解度が低いとバーンアウトや退職意向が高まり、理解度が高いと引き継いだことにより成長展望が描け、プラス思考傾向にあります
誰ベースのきちんとした引継ぎなのか。残る側の不安を少しでも取り除く引継ぎが行えるかどうかが、キーポイントと考えられます。


【欠員を乗り越える組織作りが大切】

引き継ぎ時間が不足しやすいチームの特徴を見たところ、空気を読むことが求められ、暗黙のルールが重視される「ハイコンテクスト文化」や、決定事項が上から下に降りてくるなど「トップダウン志向」が強いチーム、「日常的に休みがとりにくい」チームであることが示されています。
一方で、チーム内で業務の優先順位を相互に確認するなど「チームによる引き継ぎ行動」がなされていると、引き継ぎ時間の不足感が軽減されることが分かりました。

このことから、

  • 欠員発生にかかわらず、日常的にチームの文化を見直し、備えること
  • 実際の欠員発生の際には、引き継ぎ時間を確保するために各自の動きを見直し、チームで理解すること

◎ピンチを乗り越えるためには、発生前からの日ごろからの組織作りが大切となります。


3.退職者の有給休暇消化はあるのか?有給休暇の買取はokなのか?

〇退職時の有給消化率は平均60%で退職者の36.6%が100%消化していることが分かりました。
〇退職時に有給休暇の買取制度の利用率は、14.6%で、買取制度がなかったor買取制度があるのか知らなかったという人は75.9%でした。
※退職時に有給をすべて消化すること、残った有給を買い取ることは義務ではありません

○有給休暇買取は原則違法です。ただし、

  • 法律で定められた日数を上回る有給休暇
  • 退職時に残っている有給休暇
  • 時効になった有給休暇

については会社と従業員の双方の合意があれば問題ありません。

○有給の買取で支払った代金に関しては、給与と同様に扱うことができず、賞与として取り扱うことが必要となります。注意点は以下の通りとなります。

  • 社会保険について賞与と同様に計算して保険料を別に控除すること
  • 賞与明細を発行すること
  • 支払から5日以内に賞与支払届を年金事務所に提出すること

まとめ

本記事ではパーソル研究所の調査をもとに、退職時の引継ぎについてと有給消化・買取について解説しました。
退職時だけでなく産前産後休業・育児休業・介護休業取得時、部署移動時・転勤時などで引継ぎが必要となります。引継ぎが十分に行われなかった場合は、後任社員の残業が増えることによる様々な悪影響が考えられます。引継ぎの必要がある場合は、なるべく早く計画的に引継ぎを行うようにしましょう。
また、退職時の有給休暇の取り扱いについても法的ルールを正しく理解し、適切に処理することが求められます。

2019年から年次有給休暇の取得義務が始まったことで有給の管理がさらに複雑となりました。
そこで合同経営では、様々な取得、付与のルールに対応した「有給休暇管理システム」を開発しました。初月は無料でお使いいただけますので是非お試しください。

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