会社が従業員に対し労働の対償として支払うものは、「報酬」や「賞与」(「報酬等」と総称)として社会保険料の対象となるとされています。
では、長期で勤続した従業員に対して表彰金等(金券や記念品を含む)を支払う場合、その表彰金は社会保険料の対象となるのでしょうか?
この問いに対して、厚生労働省からは、以下のような答えが出されています。
永年勤続表彰金については、企業により様々な形態で支給されるため、その取扱いについては、名称等で判断するのではなく、その内容に基づき判断を行う必要があるが、少なくとも以下の要件をすべて満たすような支給形態であれば、恩恵的に支給されるものとして、原則として「報酬等」に該当しない。
ただし、当該要件を一つでも満たさないことをもって、直ちに「報酬等」と判断するのではなく、事業所に対し、当該永年勤続表彰金の性質について十分確認した上で、総合的に判断すること。
【永年勤続表彰金における判断要件】① 表彰の目的
企業の福利厚生施策または長期勤続の奨励策として実施するもの。
なお、支給に併せてリフレッシュ休暇が付与されるような場合は、より福利厚生としての側面が強いと判断される。② 表彰の基準
勤続年数のみを要件として一律に支給されるもの。
③ 支給の形態
厚生労働省.「「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに
社会通念上いわゆるお祝い金の範囲を超えていないものであって、表彰の間隔がおおむね5年以上のもの。
関する事例集」の一部改正について」.https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T230629T0010.pdf,(参照2023/9/19)
つまり、永年勤続表彰金については、名称等ではなく実態による判断が行われ、その場合少なくとも上記3つの要件を満たしていれば、原則として「報酬等」に該当しないということになります。
「報酬等」に該当する表彰金等は、賞与として支払った上で賞与支払届を提出し、社会保険料を納める必要があります。
判断要件が明確化されたこのタイミングで、一度自社の表彰金とその支払い方法を見直しておくと安心かもしれません。