【お役立ち情報】新型コロナ5類感染症変更後の取り扱い

政府は4月27日、新型コロナウイルス感染症(以下、「コロナ」という)の感染症法上の位置づけを5月8日から5類へ移すことの最終決定を行いました。

コロナが5類感染症へ位置づけられた後は、従業員がコロナに感染した場合の扱いも変化する部分があるため注意が必要です。

感染者の出勤について

新型コロナウイルスが5類に移行することにより、感染者や濃厚接触者への自粛要請がなくなります。

それにより、感染者や感染疑い者の就業制限がなくなるため、会社の判断で社員を休ませた場合は、「事業主都合の休業」となり、休業手当の支払いが必要になります。

感染した社員の出勤の取り扱いについて事前に協議して、ルールを作っておくことをお勧めします。

労災保険について

ポイントは、業務上災害・労災保険の給付対象になりうることは変わらないものの、労災保険を使用した場合は労災保険料率に影響するメリット制に反映されるようになることです。

以下で詳細を確認します。

従来の扱いから変更のない部分

●医療・介護従事者がコロナに感染した場合

患者の診療・看護の業務・介護の業務等に従事する者がコロナに感染した場合には、業務外で感染したことが明らかである場合を除き、原則として労災保険給付の対象となります。

●医療・介護従事者以外の労働者がコロナに感染した場合

業務に起因して感染したものであると認められる場合(感染経路が判明し、感染が業務によるものである場合)には、労災保険給付の対象となります。

感染経路が判明しない場合であっても、労働基準監督署において個別の事案ごとに調査を行い、労災保険給付の対象となるか否かを判断することとなります。

5類感染症への移行によって扱いが変更される部分

●労災保険料への影響

労災保険制度においては、個々の事業ごとに、労災保険給付の多寡により給付があった年度の翌々年度以降の労災保険料等を増減させるメリット制を設けています。

コロナに関連する給付は今までメリット制の対象外となっておりましたが、コロナが5類感染症に変更された後に労働者が発病した場合の給付については、メリット制による労災保険料への影響がありえます。

協会けんぽの傷病手当金について

これまで新型コロナウイルス感染症に係る傷病手当金については、臨時的な取扱いとして、療養担当者意見欄(申請書4ページ目)の証明の添付を不要となっていました。

申請期間の初日が令和5年5月8日以降の申請については、他の傷病と同様に療養担当者意見欄に医師の証明が必要になります。

新型コロナウイルス陽性と診断され、かつ療養のために労務に服すことができないと認められない限り傷病手当金の対象とはなりません。


感染症上の分類が変更されても、感染の可能性は変わりません。従業員がコロナに感染したとき、感染の疑いがあるときの対応について要点をきっちりと押さえ、社内のルールを決めておきましょう。




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